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Column.022 山崎 努2


 ども。事務局の山崎努です。

 前回、私自身の紹介ではなく倅や祖母の紹介だったので、今回はちゃんと私のコトをお話ししようと思います。

 私自身も私のコトをよく分かってないので、私のコトを調べた時のエピソードを、ちょっと脳内言葉で装飾してますがお話しします。

 普段、こんなコトがあって、とか話さないのですが、こんなコトがあって頭の中ではこんなツッコミを入れてるというようなコトです。

 ちょっと長めです。

※一部、想像力が豊かな方は食事中なら不快な思いをされるかも知れない表現がありますので、また日時を改めてお読みください。

 さて、私自身のコトを調べるために、どうしたものでしょうか。

 毎朝、めざましテレビの占いをカミさんと倅と見て、ラッキーアイテムの銀のブローチとか持ってないなー、とか、かに座がビリならアドバイスくれるのに11位だと放置されるなー、とか、まぁどうせ占いとかランダムで出力するプログラムで私でも作れるなー、とか思ってて、もうちょっと世間一般的に確度が高いと言われている占いを受けることにしました。

 巷では新宿の母とか銀座の母とか色々言われていますが、私が受けた占いは、場所は駒沢健康管理センターというトコロで、その名も健康診断というものです。金額的には新宿の母とかと大体同じ値段でしたが、日本国民のほぼ全員が受けたことがあるという大盛況の占いです。

 ただこの占い、一般的な占いのイメージの、水晶玉を触ったりカードをめくったり何やら棒を引いたりとかといった方法ではなく、結構面倒な手順があり、さすが確度の高い結果の出る占いは何やら複雑でした。

 まず、問診票とかいう質問が書かれたものに回答していきます。

 これは確か、占いの当日に占い師の手下に提出するもので、おそらく占いの参考にするものなのだと思います。これから占うというのに、これだけの量の質問をすれば、そりゃ誰でも当たりそうなコトが言えそうなものです。

 普段スポーツしますか? → しません。

 通勤や通学で何分くらい歩いてますか? → 往復40分。

 タバコは吸いますか? → 吸います。

 大きな病気をしたコトがありますか? → ありません。

 20歳の時の体重から10kg以上増加してますか? → 25kgは増えました。

 ほぼ同じ年齢の同性と比較して歩く速度が速いですか? → 速いと思います。

 人と比較して食べる速度が速いですか? → だいぶ速いと思います。

 他に何か身体の不調はありますか? → 地べたに座り続けると坐骨神経痛が痛いです。

 最後に来た質問。

・運動や食生活等の生活習慣を改善してみようと思いますか?また生活習慣病の改善について指導を受ける機会があれば利用しますか?

 これは、占いに通わせ続けるための巧妙に仕組まれたトラップだと思い、慎重に解答しようと思いました。ただ、ここでネガティブな回答をしておくと、真剣に占ってもらえないかも知れません。一応表面上は肯定的に回答することにしました。

 さて、占いをするために私のカラダの一部というか出て来たものが必要だそうです。藁人形には髪の毛を入れるようなものでしょうか。検尿と検便というモノですが、これが大変苦労を強いられました。

 まず検尿。最終的にはプラスチックの容器に入れるのですが、そのために一時的に入れておく紙の容器があります。放尿の途中から採ってくださいという少しテクニカルな部分は楽々クリアしましたが、問題はその後。

 この紙の容器、使用時は逆三角の形になるタイプで、置くことができない。そうなると自由に使えるのは片手のみ。

 プラスチックの容器のフタを開けていなかった私は、不安定になみなみと注がれた紙の容器を手放すことができず、

詰んだ・・・

 と30秒程茫然としました。

 これまで人生で受けた検尿は全て紙コップで安定して置けたので困ったことはありませんでした。

 結局、片手でプラスチックの容器を取り出し、フタを口で開けて採り終わるまでフタを加え続けるという少し屈辱的な結末を迎えました。

 使用前なので汚いわけはないのですが、何となく屈辱でした。

 次は検便。何やらナガセールとかいう紙があり、これは便器内の水には浮くのにそのまま流せるという優れもので、便器内に敷きました。ここに排便して、歯間ブラシのような棒で表面をこすり取るということで、なるほど、現実的な方法だと関心しながら準備完了。

 モノを出した後に表面をこすり取ろうと便座から腰を上げて振り返ってしゃがんだところ、

シューゴォーーーーー

 センサーだか何だか、自動水洗機能が付いているトイレで、まだ拭いてないお尻丸出しでしゃがんで見ている私の前で、惑星のように円を描きながら奥底に吸い込まれていくナガセールと私の分身・・・

 宇宙を感じながら為す術も無く30秒程茫然とした後、再生の道を歩むことになりました。

 ナガセールはトイレットペーパーでも代用できるとのことで、使い切らなかった私の分身を発進させ、今度はセンサーに感づかれないよう細心の注意を払い、何とかミッションコンプリートしました。

 そうこうして占いの当日を迎えるわけですが、この占いの前10時間は飲食が禁じられているとのこと。朝9時からの予定をしていた私は、前日23時には完全に水も絶ち、朝食も食べずに占いの館へ。

 ここに来て、何やら喉が痛いような気がして、風邪でもひいたかと占いのコンディションとしては少し悪いのではないかと思いましたが、そんなものに左右される占いなら信憑性も無いだろうと空腹で鳴るお腹を抱えて開始。

 水が入った紙コップと比べると尋常ではないくらい重いバリウムという白い液体を飲まされ、さらに観葉植物用の肥料のような顆粒を飲まされる。

 この顆粒、要は炭酸でお腹を膨らませるものなのだが、ゲップをするのは固く禁じられている。私は唾液を飲んだだけでもゲップが出せるくらいなのだが、止めておくのは向いていない。

 グルグル振り回される機械に乗せられ、30代後半であろうと思われる白衣の女占い師は右を向け左を向けと私をイジメながら、ゲップは我慢してくださいねーと何かのプレイかとでも言わんばかりに無茶を言う。

 結局、私は度々炭酸を出してしまい、この検査中に4回も炭酸を追加で飲まされることになりました。

 不本意ですがとりあえず空腹は満たされました。

 このバリウムは腸内に残りやすいとのことで、下剤を渡されましたが、生まれてこの方便秘などしたコトが無い私。こんなもの必要無いし飲んだら止まらなくなるのではないかと思いながらも、これも占いの手順の一つと思い、検尿の時こそ欲しかった紙コップを使いウォーターサーバーの水と共に腹に流し込みました。

 その後も色々ありましたが、内臓触診では高齢の白衣の占い師が私のお腹の色々な所を押して何やら調べていて、お腹を押されるたびにゲップが出たり、聴力検査ではヘッドホンから流れる高低のピーという音の一部が聞こえてなかったらしく、右耳の低い音が聞こえてないですねと、右側から野太い声のおっさんの占い師に宣告され、体重測定では衣服の分は引いてくれましたがバリウムの分は引いてくれなかったり、最後に血を必要とする占いでは血を採る白衣の妖艶なマダム占い師に何故か猫背を伸ばす話題を振られたりと、色々とたらい回しにされて終わりました。

 占いの館を後にし、何やら一通り終わって運気が上がって来た予感がしてましたが、結果は後日郵送するとのことでした。

 そういえば、喉が痛くて風邪かと思っていましたが、バリウムを飲んだ辺りから痛みもなく、よく考えたら前の日から水も口にしていなかったので、喉が渇いてヒリついていたのかも知れません。

 思えば、この占いの1か月くらい前から少し食生活を気にし、Youtubeで情報を得たサバ缶を毎日食べて暴飲暴食は避けてきました。

 バリウムを飲まされる直前、空腹のピークに、終わったらこってりラーメン大盛、とお告げがありましたが、そのお告げは占い師からではなく自らの内なる声でした。

 館を出ると午前11時前。ラーメン屋が開くまであと数分。少し何かで時間を潰して待つ。

 やっぱり風邪だったのか、少し寒い外気に触れ、くしゃみの助走が始まった。

 ここでなんと、最終回で主役を殺してハッピーエンドを潰す脇役の如く、そいつが現れた。

 下剤。

 勢いよくくしゃみをした途端、押す腹筋と開く括約筋・・・

 時が止まり走馬燈のようにこの1か月が見えた・・・

 しかし本能は私を見捨てなかった。

 その刹那、無意識に身体を不自然な方に曲げさせ、何とか問題になっている筋肉をコントールした。

 おかげで、ハタから見ていた人には、コメツキムシが憑依したのかと見えたかも知れない。

 いずれにしても危うく難は免れたが、まだ何も解決はしていない。コトは一刻を争う。

 お告げよりも大事なコトがあるのだ。

 というわけで後日、占いの結果が送られて来ました。

 毎日サバ缶の効果はありませんでした。何やら下がると言われてた数値も下がってませんでした。

 ラッキーアイテムは毎日の適度な運動と炭水化物を控えた野菜を中心とした食事だそうです。

 近い将来に不幸なコトになることはないが、日々行いに気をつけないと遠い将来に禍根を残すという、誰でも言えそうなコトが書いてありました。

 でも、めざましテレビの占いよりは気にすることにします。

 以上、私のコトを調べた時のエピソードでした。

 長々と御愛読いただきありがとうございました。

 こういうエピソードや文章表現、ワタシノコト側面Aとしてお送りしました。

 紹介するべきワタシノコト、こういうコトじゃなかったかも知れません。

 また今度は全然違う雰囲気でワタシノコト側面Bをお送りするかも知れません。

 お楽しみに。


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