Column.033 十日町で過ごした3年間 part2
こんにちは。関西事務局の深山です。
予告通り、大学卒業後に3年間お世話になった十日町でのことを書こうと思います。
テーマは、「自然の脅威と恩恵」でお送りします。
十日町に住んでいた3年間で、災害救助法が合計5回適用されました。
地震1回、水害1回、豪雪3回。
かなり異例の事態でした。
でも、最初は大変なことになるなんて想像もせず、
初雪にはしゃいで雪だるまを作ってみたり。
「映えてんじゃね?」って、朝日が昇る雪山を背景に、愛車の写真を撮ったり。
あの頃は、まだ無知でした・・・。
雪が降ると、市が業者に委託して行っている除雪が、朝夕2回行われます。
朝4~5時ごろと、夕方4~5時ごろ。
出勤・通学前の時間帯と、帰宅前の時間帯に除雪してくれます。
でもそれなりに雪が降っているときに、少し遅くまで仕事すると、
車高より積雪があって、ブルドーザー状態で車を走らせることになります。
ちなみにこの状態で車を走らせると、
バンパーにあたった雪が舞い上がり、
視界はほぼゼロに。
視界がほぼゼロというと、ホワイトアウトも怖かった。
前に伸ばした自分の手が見えなくなる状態を初めて経験した時は、
死ぬかもしれないと思いました。
一晩で1メートルくらい雪が降ることもあるので、
家の周りの雪もこんなことに。
※写真は2階の窓から撮影。
集落にあるキャンプ場のコテージは、特大マッシュルームに。
このままじゃ、建物がつぶれかねないので、
屋根に積もった雪の上に登って、雪掘りをします。
はい、雪「掻き」じゃなく、雪「掘り」です。掘るんです。
でも、この屋根の雪堀(雪下ろし)作業、とっても危険で毎年転落して死傷者が出ています。
幸い怪我はなかったですが、自分も転落した一人です。
これ以降高いところが苦手になりました。
雪ひとつとっても、大変ことばかりでしたが、良いこともあります。
まずは十日町といえばの「魚沼産コシヒカリ」。
十日町の米がおいしいのは、
山の養分をたくさん含んだ、豊かで豊富な水にあります。
次に雪下人参。
本来秋に収穫する人参を、そのまま雪の下で越冬させます。
すると人参独特の匂いが薄れ、甘みが増します。
あまり知名度はありませんが、実は十日町は昔から着物の産地でした。
近所のばあちゃんは年中機織りしていましたが、
昔は雪で農作業ができないときの、冬場限定の仕事だったそうです。
冬場限定なのに、京都の西陣、丹後に次いで全国3位の生産量。
先人たちは、厳しい自然環境の中でも、
自然の恩恵を受け、知恵を絞り、工夫をして、
自然と共生していたんだと知りました。
ということで、先人たちに見習い、知恵を絞って工夫してみました。
はい、2階の窓を開けてビールを冷やしていました。
冷蔵庫まで取りに行かなくていいので、すごい楽。
災害・防災に係わる人には
「地震も大雨もただの自然現象」
というふうにおっしゃる方がいます。
そこに人々の生活があるから、「災害」になると。
その通りだと思います。
自然現象により、亡くなった方、怪我をした方、家が壊れてしまった方もいます。
そんな中で、「ただの自然現象」とか「恩恵が」と言うのは、
思いやりのないように聞こえるかもしれませんが、
この日本で生きていく以上、
地震も大雨も大雪も噴火も、うまく付き合っていくしかありません。
だからこそ、災害に対する正しい知識を身に付けた上で、
普段の生活を楽しんだらいいんだと思います。